外国資本による土地購入と水

先日、水道法改正に関する記事を書いたことに関連して、外国資本による土地購入による水資源問題についても触れてみようと思う。

最近、外国資本(主に中国人を念頭に。)による日本国内の土地購入が問題としてしばしば取り上げられている。懸念されていることは、世界的な水不足を背景に、水資源が盗み取られるのではないかということ。それ以外にも、軍事基地に隣接する地域が購入され、諜報活動に利用されるのではないかということも挙げられている。現状外国資本による土地買収を取り締まる法律はない。

それでは、規制することのできる法律を作れば良いではないか、と言う人もいる。しかし、自由経済を標榜し、WTOに加盟をして、民主主義を謳う我が国においては、慎重にこれを検討する必要がある。

例えば、中国のような共産主義国家においては、すべての土地は国家に帰属していて個人が所有することができない。しかし日本はそうはなっていない。日本だけでなく、多くの民主主義国家では多少の条件がつけども国籍にかかわらず土地を取得することができる。日本の企業や個人が海外に土地や施設を取得できるのに、日本国内においてはそれが認められないといったアンバランスな政策を採ることができるだろうか。

かといって泣き寝入りをする必要もない。検討する余地は、多少の条件の部分。国家が安全保障上重要な地域と指定する区域については、土地取引に際して届出及び認可が必要とすれば良い。すでに外国資本が入っていると言われているが、軍事基地周辺、離島などがこれに積極的に含まれるべきだ。なお、自民党本部のとある部会では、この件の取り扱いについて調査が行われている。

さて、肝心の水利用の部分について触れたい。結論から申し上げると、水利権に関係する部分の取水については、外国資本によって問題が引き起こされる可能性は低い。水利権の分野は既得権が相当強く、たとえ日本人であろうとも新規に確保することは容易ではない。

しかし、水利権に係らない地下水は、これとは別の話となる。自治体において網掛けとなる条例がない場合、地下水は制限なく取水することができる。

すでに関連する条例が設置された自治体はいくつかある。これらは、地下水の過剰汲み上げによって地盤沈下が生じたケースや他の地下水利用者に不利益が生じたことによって裁判沙汰になったといったような経緯から設置されている。これらの条例の改正によって取水量制限をコントロールしてしまえば昨今の課題にも十分に対応できると考える。

少し調べて驚かされたことは、地下水の利用についての制限条例を設けている自治体があまり多くないということ。さらには水利用・管理に関する網羅的な法律が我が国に無いことである。(水循環基本法という水の循環の保全についての法律はある) たぶん慣行に依る部分が多すぎてなかなか手を加えられないのだろう。

高知県においてはどうか。以前に外国資本による土地領有問題が会派で話題になった際に、浜田県議ほかとこの件について検討を行ったことがある。(この時の主題は外国資本を念頭に置いた山林売買の届出制についてであった。) 担当課の方からは、山林に関連した水源問題については、取水管の径、つまり取水量によって市町村の許可が必要との説明があったことから、屋上屋を架す必要はないとの話に落ち着いた。しかし今回調べてみた限りでは、地下水の取水量について条例で制限をかけている県内自治体は見当たらないように思う。条例以外の網がかかっているかもしれないので迂闊なことは言えないが、引き続き勉強が必要そうだ。

参考