歯磨き道

私は小学校の折に歯の矯正治療を受けた。
犬歯2本が生え変わらずに門歯2本の根っこを侵食していたようで、やっていなければ今頃前歯はなくなっていたのかもしれない。複雑な手術と長期にわたる治療ということで親にも金銭的負担を大きくかけてしまったなと申し訳なく思ったものだ。

さて、そういうこともあって歯を大切にしようという思いは人一倍強いような気がする。中学校の寮生仲間は知っているはずだが、かつては20分くらいかけて磨いていた。いまでも定期的にクリーニングに行き、日々の歯磨きでは効率よく綺麗にする方法を常に思案中である。

音波歯ブラシ等いろいろと試してきたが、最後は普通の歯ブラシとフロスに落ち着いてしまった。音波歯ブラシはよく歯垢が落ちるのだが、落ちるがゆえに油断が生じてしまうように思う。自分でも信じがたいが、油断のために奥歯の溝に虫歯を作ってしまった。痛恨の極み。
それから音波歯ブラシと従来の歯ブラシを併用するようになって、だったら最初から従来の歯ブラシだけでいいじゃないかといまの歯磨きスタイルに至るのである。歯ブラシもいろいろと変遷があって、かつては一般的な市販品を使っていた。しかし矯正治療をはじめてから、歯医者のすすめでヘッドが小さく毛も微細なものを使うようになった。たしかデントEXシステマ44Mとかそのあたりだったように思う。歯科用のため昔はいきつけの歯医者でしか手に入らなかった。その後も何種類か浮気を繰り返しながら、ついに市販品でこれは!というものを見つけた。デンターシステマ A41である。リンク先のレビューをいましがた読んでびっくりしたが、まったく同じことを考える人がいるではないか。44Mに負けるとも劣らない性能、さらには市販品ときた。この歯ブラシを使うようになってから、歯と歯茎の間がよく磨けるようになったと感じる。歯周病のチェックをすれば、かつては3-4mmのポケットがあったが、いまでは2mmになった。快哉。

さて、フロスとの出会いについても触れておこう。私が子供の頃、糸ようじなどは歯医者でなければ手に入れられなかったし、まわりで使っている人もまずいなかったように思う。使ってみるとその効果の大きさに感心させられる反面、手を口の中に入れて糸ようじを通す作業が大変煩雑なので自然と出番は限られてくる。持ち手のついた使い捨て糸ようじも販売されるようになってはいるが、それでは奥歯の間はどうするのだ!とメーカーに問い合わせたくなる。そこでなにか他に良いものはないかとネットサーフィンをしていたところ、ネット通販でフロスというものに出会った。たしか大学生の頃だったと思う。このフロスとの出会いが私の歯磨きライフを大きく変えた。どう変わるかはみなさんも使ってみて追体験していただきたい。フロスのない歯磨き生活はもはや考えられない、そう思う日がくるはずだ。ちなみにこのフロスタイプ、ドラッグストアには置いていないのである・・・

最近の勉強会について

書くネタがないわけではないのですが、お酒を飲んで家に帰るとそういう気力も湧くこともなく、気が付くとベッドの中でまどろんでしまっているのです。

さて、先週はいろいろとイベントづくしでした。
参議院議員宇都隆史先生による時局講演会、明推協主催による大学生との意見交換会、公民館総会に中谷元先生による集団的自衛権についての研修会、古事記勉強会。

集団的自衛権について勉強会が続いているこのごろですが、どうせやるならもう少し早めにやって市町村で関連意見書があちこちでるような事態は避けるようにすればよかったのにと今更ながらに思うわけです。しかし渦中にいるときというものは往々にして自分がどのような環境に置かれているのか捉え難く、周辺のこととなれば尚更感知し難いものです。6月定例会、閣議決定を経てしばらくたった今だからこそ、振り返ってそのように総括できるのかもしれません。

さて、この集団的自衛権行使についての解釈変更(解釈改憲ではない)のお話は、勉強すればするほどその必要性・重要性を痛感せざるを得ないわけです。平和平和と叫んでいれば戦争が起きないわけではなくて、病気にならないように病気のことを勉強して予防措置をとらねばならないように、軍事についての知識をはじめとして戦争についてよくよく勉強し、その上で必要な抑止措置を講じることが必要なわけです。

安全保障の分野において軍事力が最も効果的な抑止力として働くわけですが、さらにそこから通常戦力と核戦力に大別され、そのどちらも不可欠な抑止力の構成要素であります。

核が抑止力として十分な力を発揮することはいちいち説明の必要はないだろうと思います。通常戦力とは、前方展開能力のことであり、戦術的に見れば主として空母を伴う航空攻撃戦力と高い機動力を有する海兵隊戦力のことです。

これらが有効に発揮されるためには、これらの抑止力が有効に発揮されることを相手が合理的に判断できる能力を持っていることが求められます。その意味において内圧や外圧によって国家運営が危機的状況に陥った場合には、抑止力が有効に機能しない場合がある・・・日本近隣には潜在性をもった国がいくつか見当たりますから殊更心配ですね。そしてもうひとつは、その抑止力が有効な打撃力を有し、なおかつ強靭な生き残り性を有していることです。核ミサイル基地の地中化などは生き残り性の強化に当たりますかね。

さて、このような観点で日本の自衛隊が抑止力を有しているのか問われれば、みなさんお分かりの通りノーなのでございます。自衛隊は自衛のための必要最小限度の備えであり他国の基地を攻撃するなど全く想定されていないのであります。ということは、他の何かが日本の抑止力を担っているわけで、それこそ皆さんご存知の通り日米安全保障条約に基づくアメリカによる核の傘と米軍なわけです。

私達は抑止力が一方的に提供されていることからあまりその重要性について意識することはないのですが、しかしよくよく日本の軍備の変遷について振り返ってみると、世界情勢の変化とそれに伴うアメリカ防衛大綱の見直しが行われれば、それ相当の変化が自衛隊軍備もたらされていることが見て取れるわけであります。特に、最近のアメリカの国力の低下やオバマ大統領の「世界の警察やめます」発言などを受けて、日本としても一定、アメリカ由来の抑止力の低下分を補填する必要がでてきているわけであります。

さてそういうことで見直しが行われました集団的自衛権行使についての9条解釈変更ですが、あわせて徴兵制などのお話が出ていますので、それがいかに荒唐無稽なお話であるかについても宇土先生のお話を参考に解説を加えたいと思います。

まずそもそも軍事の分野も日進月歩であって、それなりの技術と知識がないと今日日自衛隊員として役に立たないとのことでした。それはそうですよね、兵器も進化するしIT技術などもいろいろと取り入れられていますから・・・だいたい3,4年訓練しないと使い物にならないそうです。

次に一定の年齢層が徴兵されるとして、その人件費はどのように賄うのかという財源問題があります。いまでさえ予算不足で定足数満たしていないのに・・・

さて、最後に申しておったことは憲法上の制約。憲法18条に「誰も自分の意志に反する苦役に従事することを強要されない」、とあってこれによって徴兵制はダメですよというのがいまの政府解釈だそうです。おおよそ司法判断に持ち込んでも同様の結論を得るでしょう。この条文の由来は、アメリカ合衆国憲法の追加条文だそうです・・・

というわけで徴兵制はありえないのですが、徴兵制ないと言っても国民国家において国家間戦争が起きれば総力戦になるのは当たり前のことなので、否応なく戦火に巻き込まれることは想像に難くありません。そういう最悪の事態が起きないようにということでいま抑止力の議論がされているわけですね。

また次回記事を書く機運に恵まれた際には古事記勉強会で得た雑学についてご披露申し上げたいと思います。

講演会成果報告並びに集団的自衛権に関する閣議決定

「日本の自立、高知の再生」vol.02 無事に終えることができました。
日曜の多忙の時間にもかかわらず、ご参集くださいました皆様に心より御礼申しあげます。

講師としてお招きした伊藤哲夫先生は、保守のしっかりしたシンクタンク、情報発信源が無くてはならないという使命感から、今から30年前に日本政策研究センターを立ち上げられました。
今日までたくさんの政治家と交流をし、彼らのみならず日本国家に対して多大なる貢献をされております。私と先生の出会いは、日本会議を中心とするグループ主催による講演会でありまして、以後、月刊誌「明日への選択」の購読を行い、本部で開催されている勉強会等にも参加させて頂いております。

今回は伊藤先生の日本国憲法改正に関する考え方をみなさんに聞いていただきたくこのたびの運びとなりました。

伊藤先生のお話はやはり大変わかりやすい。集団的自衛権の行使にかかわる解釈改憲の話から現行憲法の問題についてお話し頂きました。

まず昨今のマスコミや解釈改憲反対論者たちは、安倍政権が戦争をするために解釈改憲を行おうとしているとの論調をとっているが、その前提はおかしい。政府・与党による再三の説明は、戦争が起きないように、抑止効果を高めるために一連を手続きをとっているのである。また歴史の教訓や安全保障環境に関する国際情勢動向についても充分に注意を払っていかなくてはならない。

昨今の中国やロシアの動向は、第二次世界大戦を引き起こしたドイツの動きに似ているという。第一次世界大戦で繰り広げられた国民国家による国家総動員戦争によって、たくさんの命が失われたことに対する反省から、戦後は第二次世界大戦後以上の反戦・厭戦気運が高まりを見せた。この間隙を突く形で台頭したのがヒトラー率いる国会社会主義ドイツ労働者党である。ヒトラーは、オーストリア在住のドイツ系住民の保護を名目にドイツ軍を同国内に進駐させ、オーストリア併合を成し遂げる。これを制止すべき立場にあるイギリスやフランスをはじめとする周辺諸国は、第一世界大戦後の厭戦気運と戦争は起きないとの楽観的見通しのもと十分な干渉を行わなかった。これに味をしめたドイツは、チェコ・スロバキアに対してもドイツ系住民保護を名目にズデーテン地方の割譲を迫る。イギリスとフランスの首相の仲立ちによって、チェコ・スロバキアはドイツが軍事侵攻をしないことを見返りにズデーテン地方の割譲を決定する。いわゆるミュンヘン協定である。一連の出来事によりイギリス・フランスによる軍事介入の恐れがないことを確信したヒトラーは、その後、チェコ・スロバキア内での独立運動を扇動し、同国の解体を行い、ついにチェコ・スロバキアは消滅してしまうこととなる。次の目標をポーランドに定めると、同国との不可侵条約を破棄し、ドイツとの不可侵条約を締結。1939年9月1日にポーランド攻撃を開始した。これを受けて、イギリス・フランスは9月3日にドイツに宣戦布告をする。これが第二次世界大戦のはじまりである。

どうだろうか、非常に既視感の強いお話ではないだろうか。世界各国では、いまの中国が当時のドイツのようだと囁かれている。中国は国境を接する周辺諸国に対して、これは元来自国領であるとの主張を行い、南沙諸島しかり軍事侵攻を行って実効支配を繰り広げている。日本に対しては沖縄・尖閣諸島をめぐって様々な圧力がかけられていることは周知の事実である。このような中国にとっては、昨今のシリアやウクライナ問題に対する国際社会の対応、とりわけアメリカの動きは好ましいものであろう。

中西哲県議のブログにもある通り、アメリカの軍事費の削減、オバマの「アメリカは世界の警察官ではない」発言等を受けて、中国の膨張政策はますます活発化の様相を見せている。日本にとっても中国の動向はもちろん脅威であるが、さらには、アメリカのアジアにおける軍事的プレゼンスを補完する形で防衛戦略を構築し、アジアの安定、日本の安全保障環境の充実を図らなくてはならない局面にある。

アメリカが日本縁辺のきな臭い地域において情報収集を行う軍用機(偵察機)を運用しているがこれには当然護衛機も必要となってくる。関連して後方支援等も必要であろう。彼らがリスクに晒されているのに、あるいは攻撃を受けた際に、当事者とも言える日本が何もしないというのではお話にならない。そのような安全保障体制というものは本当に機能するのかと言う話も出てくるはずである。

以上が集団的自衛権に関するお話である。憲法については、倉山満先生の講演を紹介した内容と重複する部分がある。マッカーサーは初期対日方針に従って占領政策をすすめ、マッカーサー・ノートによって憲法の骨格を指示した。
その主たる目的は、日本をアメリカはじめ連合国に対して二度と逆らえない国にすること、アメリカの属国化することにある。サンフランシスコ講和条約発効以降、我々日本人は、いくらでもこれを訂正する機会はあったわけであるが、今日まで遂に成し遂げることができなかったし、そういった世論も充分に醸成することができていない。GHQの占領政策がいかに効果覿面であったかということか。昭和憲法破棄、明治憲法復活をしてはどうかという質問に対しては、建物の耐震化に例えて見事な返答をしていた。例えば、将来襲い来る地震に耐えられない建物に住んでいるとする。貯蓄は耐震化するには足りるが、新築を考えるには程遠い状況にあるとする。そのような状況で新築という選択肢はとりえない。これは昭和憲法破棄、明治憲法復活が現実的でないということを示唆した話だ。

さて、ここまでが私の補足を加えつつ伊藤哲夫先生のお話概略である。
そして昨日、7月1日の夕刻、安倍内閣によって集団的自衛権行使にかかわる解釈変更の閣議決定が行われた。昭和21年の吉田内閣から、昭和56年の鈴木内閣までの間に行われた6度の解釈変更に加えて、今回で7度目の変更となる。その解釈の範囲は、1959年の砂川事件最高裁判決によって示された『9条は「わが国が主権国として有する固有の自衛権を何ら否定して」おらず「わが国が、自国の平和と安全とを維持しその存立を全うするために必要な自衛のための措置を執り得ることは、国家固有の権能の行使であ」る』との司法判断を超えるものではない。昨今巷で立憲主義の危機、解釈改憲言語道断などと声高に叫ぶ人たちがいるが、もう少しきちんと勉強をして、正しい情報発信を心がけてもらいたいものである。

何にせよ一連の結果は、戦争が起きないよう抑止効果をいかに発揮させるか、国家の安寧をいかに担保していくかということを真摯に考えたならば、必然的にたどり着くところであろう。まだまだゴールは言い難く、また1952年4月28日サンフランシスコ講和条約発効から62年という長い時間を費やしてしまったが、今回の一歩が意義ある一歩であることには違いない。