6月定例会

平成26年度6月定例会。始まったのは約一週間ほど前なのですが、遅筆ゆえに今日までかかってしまいました。

様々な議案の中でも世間一般に注目を集めているのが県交通・土電の問題。

個人的に関心を寄せているのが国土強靭化基本法に基づく国土強靭化地域計画の策定について。全国に先駆けて本県がモデル地域に選定されたとのことで、その責任の重さから身の引き締まる思いです。

東日本大震災を契機として産声をあげた本法ゆえに、また「防災・減災に資する」と冠がついているために災害への備えに主眼がおかれがちです。私としては「強くしなやかな国土づくり」のフレーズを通して本法の最終目的地を見るように心がけたほうが良いように思います。

強くしなやか…という言葉からは、日本の国土やそこに住む人々、文化が多様性を保ち、環境と調和し、均衡のとれた発展をしている姿を想像させられます。本法の生みの親でもある京都大学の藤井聡先生はリダンダンシーという言葉を使っていました。この言葉の通り、日本が様々な外的・内的ストレスにさらされ、時にある部分が機能不全に陥ったとしても、しなやかさゆえに他の部位が代替機能を果たすことができるような国土や行政や社会のシステムを作らなくてはならないのだろうと思います。

というのは通り一遍のお話で、本法のポイントは

  • 国土総合開発法・国土形成計画法の後継
  • 公共投資による景気対策(ケインズ理論)
  • 都市から地方への富の再分配
  • 事前防災・減災対策

と考えます。ようするに小泉改革からの政策転換。小泉政権においては、小さな政府、無駄をなくす、改革といったフレーズのもと、様々な行財政改革が推し進められました。これらを通底するものは経済的合理性を追求する考え方であって、経済的にペイしない施策は問答無用に切り捨てられてしまうという負の側面も持ち合わせていました。

人口が少なくさらに家々が点在する地方などは、経済的合理性の網にかかるはずもありません。
公共投資が減れば地方の域内キャッシュ・フローは減少し、景気も低迷、雇用の受け皿を失い、若者は仕事を求め都市へ流れて、地域の経済のパイはますます縮小するという負の循環に陥りました。

このような状態を打開するべく、かつて日本が行っていた都市から地方への再配分機能を復活させ、その分配でもって、新しい国土軸を定め、地方拠点都市の整備を行うことで地方の活性化につなげること、さらには大規模災害に粘り強いものにしなければならない。老朽化したインフラの更新や長寿命化なども合わせて行うこと、これが国土強靭化基本法の目指すところと理解しております。これからの日本の国土の形、地方の趨勢を決めるものですから、ただ惰性で計画を作って予算を取ってくればよいというものではありません。県版、市町村版ともに、これからの高知と日本のあるべき姿を念頭に置いて、精魂込めて作られなければなりません。