オーストリア視察について順に掲載します。
9月14日
オーストリア視察に出発する日です。目的はCLT (Cross Laminated Timber) と再生可能エネルギーについて見聞を深めることにあります。CLTについては、本県の高知おおとよ製材で生産予定であり、また再生可能エネルギーについては仁井田と宿毛で木質バイオマス発電プラントが稼動予定です。オーストリアは両取組の先進国であることから、ぜひともこれを見てみたいという中西県議の発案から今回の視察が実現しました。
CLTもバイオマス発電も名前は聞いたことがあるけれど…といった人のために簡単に解説をします。
CLTとはクロスラミネイティッドティンバーの略称で一種の集成材・合板です。一般的な集成材は個々の板材を平行に張り合わせて作成しますが、CLTは同様の板材の2層目以降をそれぞれ90度回転させて重ねることによって作成します。ゆえに個々の板材の持つ歪みや強度といった性質がある程度均質化されます(従って、これまで材料にできなかった品質の低い板材も利用可能です)。これは品質が厳しく問われる工業製品にとって非常に重要な性質です。まあ、合板(ベニヤなど)ですでに実現してるじゃないかと言われればそうなんですが。このCLTですが、強度も高く壁材に使うことで中層建築物も作成することが可能です。
(国交省参考リンク)
もう一つの木質バイオマス発電について説明します。これは至ってシンプル。木を燃やして水を加温・加圧し、タービンを回転させることで発電を行います。既存の原子力や火力とやっていることは変わりません。なぜいままで行われていなかったのかというと、既存の発電コストよりも高くつくためです。電力の固定価格買取制度(F.I.T)の導入により、電力会社が20年間、電気を特別に高値で購入することが義務付けられたために経済性が高まりました。古くて新しい木材の利用方法として日本各地で導入が検討されています。
さて、どちらも共通するのは木材を利用するという点です。高知県は84%の森林率ですが、昨今は材価の低迷により林業業界とそれを支える中山間が疲弊の一途を辿っています。ここにCLTや木質バイオマスといった新しい木材の利用方法を提示することができたならば、木材の消費量は増加し価格も上昇、ついては雇用の拡大や中山間の活性化につながることが期待されます。さらには、後に詳しく触れると思いますが域内キャッシュ・フローを増やすことにもつながり、高知県全体の経済の活性化に結びつく可能性があると考えています。
昨年も再生可能エネルギーの調査で訪れたオーストリアではありますが、今回はその発祥地であるギュッシングが訪問でき、CLTの工場も見学できるということで否が応でも期待に胸が高鳴ります。参加メンバーは私のほかに、中西哲県議、梶原大介県議、明神健夫県議、西内健県議の総勢5名です。(その2に続く…)