ついに視察最終日
[9月19日]
6時00分、散歩しましたので写真をご披露。
まず向かったのが前回も訪れた大きな教会。通訳のエヴァさんの話によると、今日のオーストリアでも無宗教の人が増えていて礼拝には行かない人もいるそうです。畏れ敬うことを通して分際を知るわけですから、無宗教とは褒められたことではないですね。
残念ながら教会はまだ開いておりませんでしたので、他の場所を訪ねてみることにしました。しばらく歩くと子どもたちがバスに乗って通学をしているところに出くわします。親が車で送迎というのはあまりなさそうですね。
次に目を引いたのがアーケード街、シャッターで閉めている店舗はありませんでした。通りのデザインが統一されていて良いですね。
その後旧市街の広場に出ます。中央には大きな像が立っていて、すぐそばまでトラムが乗り入れています。トラムの線路は北に延びてドナウ川を越えて北岸に続きます。ふと北岸にいってみようと思い立ちました。橋の上からは雄大なドナウ川の写真を記録。北岸はこれたいったものが、しばらくウロウロすると南岸の旧市街にもどってきました。以上朝の散歩でした。
本日訪問する先は実は昨年もお邪魔したところ。取組の内容が良いので今回はじめての人たちにもぜひ聞いてもらいたいということでメニューにいれました。ホテルからは徒歩5分、ビルの5Fの州立のアッパーオーストリアエネルギー局です。日本風に言えば行政系研究機関といったところでしょうか。応対くださったのはクリスティーヌさん、パワーポイントをつかって説明をしてくれました。
アッパーオーストリア州リンツ市は、人口138万人、面積96キロ平方メートル、主な産業は、工業、サービス業、観光であり、オーストリア輸出総額の25%を占めています。エネルギー局は、州の出資により1991年に設立され、エネルギー効率化と再生可能エネルギー普及促進をその主たる役目としています。顧客は個人、企業、行政と様々です。法規制や政策に関する提案も行います。大きな特徴としてはThe Oekoenergie-Cluster Upper Austria (OEC)と呼ばれる再生可能エネルギーとエネルギー効率化に関する企業群ネットワークを統括しているとのことです。
OECの売上高は22億ドル、雇用は7300人、アッパーオーストリアの輸出シェアの50%を占めています。
(図01)アッパーオーストリアにおける再生可能エネルギーの割合
総エネルギーの34%、熱需要の46%⇒削減された化石燃料輸入額で 10億ユーロ/年分
2030年までに・・・39%の熱需要を削減。電気消費量を0.5%/年の割合で削減、二酸化炭素排出量-65%減
(図02)バイオマス暖房のなぜ?
- 持続可能かつカーボン・ニュートラルな燃料
- とりわけビル等の暖房に適している
- 最新型の暖房システムは低排出ガスで運転が自動化されている
- エネルギー安全保障を高められる
- 地域の林業経済を支えられる
- 森の持続
- 熱需要を減らす (断熱性向上)
- 高効率、低排出唯一の設備、発電能力を備えた高効率CHP
→アッパーオーストリアは過去20年間、木質バイオマス暖房分野を開拓し、そして小型システムの分野において世界のリーダーシップをとるようになった
→EUに導入されている木質バイオマスボイラーの25%はアッパーオーストリアの会社によって製造されている
(図03) オーストリアにおけるバイオマス暖房の経済的インパクト
→関連雇用などの経済効果など
(図04) 典型的木質バイオマス暖房設備
→用途によって燃料やボイラーは様々
(図05) バイオマス暖房の導入量(MW)
(図06) 再生可能エネルギーのポテンシャル
→現在値と2030年の目標値
(図07) ニワトリが先か卵が先か論争を克服せよ
→できない理由ばかり挙げるのはやめたいですね
(図08) 図解エネルギー局の仕事 (ムチとニンジンとタンバリン)
→ムチは法規制、ニンジンが補助金、タンバリンが情報や技術
(図09) ムチとニンジンとタンバリンの解説
→この絶妙なバランスが重要だと思う。本県でもこれができれば・・・
(図10) バイオマス暖房に係る主要な政策
(図11) 基準(規制)を通した市場の活性化
→本県のペレット規格等も欧州を参考にすべきだった
(図12) 燃料と設備に係る規制を通じた市場の活性化
→図11の補足
(図13) 意識とスキルを高める
→最終消費者向けのアプローチも忘れていない
(図14) 研究と開発プログラム
→たぶん後述のOECクラスターが対象なのだろう
(図15) ビジネスモデル:バイオマスによる地域暖房
→本県でも検討に耐えるモデル
(図16) ビジネスモデル:バイオマス熱供給のリース契約
→普及のためには検討すべきモデル
(図17) バイオマス熱供給のリース契約
(図18) OECクラスター組織図
→エネルギー産業のクラスター
(図19) OECクラスターの効果
(図20) OECクラスターの構成
資料はすべて2012年訪問時のもの。説明は去年のほうが充実してたかなぁ。
当エネルギー局で特に参考になる部分は、ムチとニンジンとタンバリンのバランスの良い使い方。そしてOECのエネルギー産業クラスター。
本県でもメガソーラーや木質バイオマスなどの再生可能エネルギーを推進している。その施策の中身は、立候補した事業体に補助金を入れて支援するといったものである。しかしこれではどうしても受け身であり場当たり的な感が拭えない。私は本件については行政が主体的責任を負うようなリスクをとっても良いのではないか、いやそうでなければ形にならないのではないかと思う。詳細は(たぶん)その7に譲りたい。
最後の視察を終えた一行は、ホテルに戻ると荷物を持ってタクシーに。リンツ駅からウィーンを目指します。電車はやっぱりQBB。たしか私鉄も相互乗り入れをしていて、そちらは少し安く乗れたように記憶しています。駅で昼ごはんのマクドナルドハンバーガーを買いました。日本のものより大きいですね、写真を撮っておけばよかった・・・このあと約2時間かけてウィーンへ
ウィーンについた一行は地下鉄でホテルへ。ホテルは初日~2日目と宿泊したホテル『Austria Tend Parkhotel Schonbrunn』です。初日のように広い部屋というわけにはいきませんでしたが、それでも十分なスペースがありました。残された時間は市内をみんなで散策、夜は食後にシェーンブルン宮殿のクラッシックコンサートを少々かじって視察最終日を締めくくるのでした。